こんにちは。VIKING the MAINTENANCE(バイキング・ザ・メンテナンス)は西新宿を拠点に展開するスポーツバイクのメンテナンス、修理、カスタマイズ専門店です。
今回のカスタムはキャノンデールのシナプス。ロングライドやエンデューロに照準を当てたエンデュランスバイクです。キャノンデールは同社初のエアロロードバイク「システムシックス」をリリースし話題を集めていますが、話がそれてしまうので今回は触れません。
最近はディスクロードが各メーカーから続々とリリースされており、ディスクブレーキについてそれなりに理解されているユーザーさんも多いとは思います。なので今回はちょっと異なった視点でシマノのロードバイク用ディスクブレーキの特徴とパッドやローターの違いを深堀りしてみたいと思います。
目次
重量も大きなメリットに。デュラエースST-R9170ディスクブレーキ
カスタムの内容はロードバイク・ディスクブレーキキャリパーの取り付けです。ロードバイクのディスクブレーキモデルのリリースが著しく増えた2019年モデルですが、それに乗じてディスクブレーキ関連のカスタムやメンテナンスがVIKINGでも増加傾向です。
今回はシマノ・デュラエースのディスクブレーキキャリパーとレバーの取り付け、オイルラインの形成をさせていただきましたが、VIKINGではSRAMのディスクブレーキシステムである「HRD」やカンパニョーロのディスクブレーキシステムのカスタム、メンテナンスも問題ありません。
画像上はDi2とディスクブレーキ(ST-R9170)の組み合わせ。ハンドル内から出てきたディスクブレーキホースとSTIレバーが接続されている様子です。ST-R9170の形状的な特徴としてワイヤーとディスクブレーキの組み合わせであるST-R9120よりもコンパクトであることです。これにより重量が大幅に異なっています。さらに下の画像をご覧ください。
2モデルを並べてみました。左がDi2ディスク仕様のST-R9170、右が機械式ディスク仕様のST-R9120です。一見すると同じように見えますが、頭の部分に注目するとST-R9120の方が大きくなっていませんか?これはシフトケーブルの巻取り部と油圧ブレーキのタンクを収めるためにどうしても大きくなってしまうためです。
一方でST-R9170(左)はDi2のためワイヤーの巻取り部が存在せず代わりにDi2の基盤と油圧タンクのみで構成できるためコンパクトにできるのです。さらに重量で比較すると一目瞭然です。
重量は?
ST-R9170:320g(平均重量)
ST-R9120:538g(平均重量)
カタログ値でなんと「200g」も違いが出ています。STIレバーでこれだけの重量差が出ているとは非常の驚きですね。確実なシフティングと幅広いシフト設定が魅力なDi2ですが、このような場面でもまた違った恩恵が得られるということです。
Di2ディスク仕様と機械式ディスク仕様のSTIレバーの重量差はデュラエースだけではなく、アルテグラ、105にも同様に当てはまります。またこれら3つのコンポーネントは頭文字が「Rシリーズ」という同系統のデザインを採用しているため互換性もあります。
ディスクブレーキパッドは共通品
ディスクブレーキパッドはレジンとメタルの2種類が用意されていますが、3つのグレードともに同じモデルを使用します。レジンパッドは基本的に樹脂で成形したタイプであり、メタルパッドは銅やセラミックなどの素材を混合し焼き固めて成形したものです。制動力はメタルの方が強めに効きますがどちらもゴム製のリムブレーキパッドよりも交換のタイミングが早いのが特徴です。
関連記事:ディスクブレーキのパッドとブレーキオイル。交換はどのタイミングが一番良い?
さらに細かく分けていくとシマノのディスクブレーキパッドにはフィン付きとフィン無しのレジン、メタルパッドが存在します。フィン付きのパットはアイステクノロジーパッドと呼ばれており、ブレーキをかけた時に発生する熱を逃がす効果(放熱効果)が高いパッドです。一方でフィン無しはいわゆる通常のディスクブレーキパッドであり、放熱効果はアイステクノロジーパッドよりも劣ります。
放熱効果が高いとパッドの耐久性が高まり、制動力の安定につながるということです。デュラエース、アルテグラ、105の3グレードは最初からアイステクノロジーパッドが採用されていますので、交換時も同じパッド使用することをおすすめします。
ブレーキング時のディスクキャリパー周辺は非常に高温になるため、放熱効果が非常に重要なわけです。
ディスクローターの冷却効果と制動力
ディスクローターにも放熱効果が期待できます。ディスクブレーキパッド同様ローターもブレーキングによってかなりの高温になります。その高温が少しでも抑制されれば効きやパーツの耐久性が高まることになります。
シマノが開発した「アイステクノロジーフリーザローター」は通常のディスクローターに比べてブレーキング時のローター温度を約50度下げる放熱効果があります。さらにその放熱効果により制動力が20%、パッドの耐久性が20%向上するデータが得られています(上画像参照)。
そのアイステクノロジーフリーザローターはデュラエースとアルテグラが採用しています。一方105は不採用なのでこの時点で性能が上位2モデルよりも劣ります。
さらに下の画像にあるデュラエース(左)とアルテグラ(右)のアイステクノロジーフリーザローターを比べると、デュラエースが濃紺色に塗られていると思います。この濃紺色がシルバーよりも放熱効果を高める効果があり、デュラエースとアルテグラの差を生み出しています。
まとめ
デュラエース、アルテグラ、105の3つのグレードは同じディスクブレーキパッドを使用するものの、ディスクローターの違いで制動力や耐久性が変わってきます。さらに最上級のデュラエースに至っていはここに「軽さ」が加わるためレース機材としてはベストなアイテムと言えます。
アルテグラのディスクキャリパーにデュラエースのディスクローター
105のディスクキャリパーにアルテグラーのディスクローター
以上のような組み合わせも可能ですね。自身のライドエクスペリエンスや予算に応じてカスタムしていくのも非常に魅力的です。
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