こんにちは。VIKING the MAINTENANCE(バイキング・ザ・メンテナンス)は西新宿を拠点に展開するスポーツバイクのメンテナンス、修理、カスタマイズ専門店です。
先日、トライアスロンで使用率の高いブランド、Cervelo(サーヴェロ)のP3をお預かりしました。以前のブログでS3を紹介した際に触れましたが、サーヴェロは今やロードバイクのメジャーブランドとして評価されていますが、もとはトライアスロンのフレームの開発が有名なブランドでした。
先日引退したロードレーサーのファビアン・カンチェラーラも以前サーヴェロのフレームを使用し、レースに参戦していました。
目次
トライアスロン特有の油汚れ
今回お預かりしたP3がこちら。shimano電動シフトDi2仕様で、クランクは楕円チェーンリングで有名なROTOR(ローター)です。
チェーンとスプロケットがオイル過多でかなり汚れてしまっています。
リアディレイラーのプーリー(歯車)もこの通り汚れが乗っかっています。
なぜこのようになったのか。トライアスロンはスイムの後に自転車に乗るため体中濡れながら走ります。フレームやパーツに潮水等が浸水することで錆びや劣化を防ぐために、通常のロードバイクと比べて粘度の高いオイルを使用したり、量を増やしたりと対策をするのです。
駆動系を分解
チェーンを外し、ROTORの3Dクランクを外します。シマノのクランクはNonドライブ側(左クランク)を外して分解しますが、ROTORの3Dクランクは右側の赤いボルトで脱着をします。
クランクの内側は普段見えない場所だけに結構な汚れが確認できます。ちなみにBBは回転効率が上がりスピードアップが望めるセラミックスピード社製のBBを使用しています。
ひとこぎ、ひとこぎで実感できる人とそうでない人はいますが、後で距離やタイムを見てみると大きなメリットを確認できます。
左クランクも外し、BBに付いていた古いグリスを拭き取ります。
左クランクを洗浄します。スピンドル(シャフト)はアルミ製で定番の30mmサイズ。
シマノ・アルテグラDi2のバッテリーマウントです。走行中はもちろんバッテリーを取り付けますが、この通り中に汚れが入り込んでいます。水分を使って拭き取ることはできないので、乾いたウェスを使用し丁寧に汚れを拭き取ります。
チェーンは新品交換ではなく、クリーニングで対応しました。ケミカルメーカーのWAKO’S(ワコーズ)の汚れ落としを使用し、ブラシでこすります。
カセットスプロケットも同様の作業をします。
ホイールのクリーニングと回転状況をチェック。ホイールバランスもしっかり見ます。ハブ内のベアリングの回転力がデフォルトのままだったので、セラミック系で回転力が増すグリスを塗り直し完了です。
クリーニングを終えたら組み付けへ
ディレイラーを取り付けるシーン。プーリーもしっかりクリーニングしました。
カセットスプロケットも新品時の光沢がよみがえりました。
ブレーキケーブルは新しいものに交換です。
組付け後のCervelo P3です。画像ではわかりにくいのですが、フレームの塗装はマット(艶消し)なんです。マットホワイトは汚れを落とすのにちょっと苦労します…。
ROTORの3Dクランクもこの通り。チェーンがここまできれいになると清々しく感じますね。
ブレーキケーブルを交換したことで、一部バーテープを張り替えています。
サーヴェロと言えばこの楕円形に薄く伸びたシートポストですね。これが空気抵抗軽減の一因となります。
トライアスロンのフレームはロードバイクと違ってセッティングが異なります。特にレース前になると防水や防錆を気を付けるためオイルの使い方などが変わってくるのです。
この時期はトライアスロンのレース、大会も落ち着く時期ですので、春のシーズンに向けてお持ちのトライアスロンバイクをメンテに出してみてはいかがですか?
レース後、自転車をそのまま保管しているのであれば、早急にメンテナンスすることをおすすめします。汚れによって部品が劣化することが十分考えられるからです。
トライアスロンバイクは安いものではありませんし、毎年新しいフレームを使う人はほとんどいないと思うので、レース後や練習後のメンテナンスは長く使い続けるのに非常に重要です。是非ご検討ください。
わからないことなどありましたら、お問い合わせいただけると嬉しいです。
それでは。